ニューヨーク大学インタラクティブ・テレコミュニケーション・プログラム
 
(Interactive Telecommunication Program, Tisch School of the Arts, New York University)修士課程在籍中のマシュー・エプラー氏(Matthew Epler)が、2012年11月17日にウェブサイト「再コード化プロジェクト──コンピューター・アートのアクティブ・アーカイブ(The Recode Project: An Active Archive of Computer Art.)」を公開した。同プロジェクトは、過去のコンピューター・アートを現行のプログラミング言語「Processing」で翻訳/変換することによって保存しようとする試みで、趣旨に賛同したプログラマーのコミュニティによって運営される。

同プロジェクトのモチーフ第一弾は、米国で1976–1978年にかけて発行された逐次刊行物(季刊)「コンピューター・グラフィックス・アンド・アート(Computer Graphics and Art)」(Berkeley Enterprises Inc.)だ。参加者はPDF化された「コンピューター・グラフィックス・アンド・アート」の誌面からグラフィック作品を選び、「Processing」を使って再制作し、ウェブサイトで発表することができる。作品の翻訳方法は「直接変換(Direct Translation)」と「実験的変換(Experimental Translation)」の2種類から指定することができる。前者は、最終的な見え方がオリジナルと同等である必要があるが、後者は、オリジナルと異なる要素(動きや形など)を追加したり改変することができる。

「コンピューター・グラフィックス・アンド・アート」のPDFは創刊号を除く11冊分がウェブサイトで公開されている。日本人作家の川野洋氏や佐々木睦子氏らの作品を含む誌面から切り取った図版のインデックスと共に、再制作された作品を閲覧することができる。同ウェブサイトによれば、オリジナルのPDFデータの所在についてRhizomeのニュースを通して知り、ブレーメン大学コンピューター・サイエンス学部(the Computer Science Department, the University of Bremen、ドイツ)が1950年から1979年までのデジタル・アートを対象にしたアーカイブ・プロジェクト「compArt: Center of Excellence Digital Art」から取得したようだ。

エプラー氏が「ほとんどの作品のプログラム・コードは誌面で公開されていない。さまざまな解釈と試みの機会が設けられると同時に、新しい作品制作の出発点にもなりうる」と指摘するように、「再コード化プロジェクト」の活動は、コンピューター・アートの作品保存につながるエミュレーション(現行のテクノロジーへの置き換え)と二次創作的な側面が共存している点が興味深い。また、「compArt」が公開した資料を発端にして、プログラマーを巻き込んだ知と創造の循環が起きている点で、「アクティブ」なアーカイブの活用が実現した事例といえる。

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再コード化プロジェクト──コンピューター・アートのアクティブ・アーカイブ(The Recode Project: An Active
 Archive of Computer Art.)
http://recodeproject.com/