インドのハイデラバードで11月11日・12日、ゲーム開発者会議「NASSCOM Game Developers Conference(NGDC)」が開催され、日本からもアクションアドベンチャーの『D4: Dark Dreams Don’t Die』などを手がけた末弘”SWERY”秀孝氏と、人間の言葉を喋る不思議な生物を育成する『シーマン』の生みの親として知られる斎藤由多加氏が登壇。ゲーム開発に関するさまざまな議論が行われた。

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NGDC2016

NASSCOM(National Association of Software and Services Companies=全国ソフトウェア・サービス企業協会)は1988年に発足したインドの主要IT関連企業が加盟する業界団体で、NGDCはそこから派生したゲーム開発者会議という位置づけ。9回目となる本年度はマハーラシュトラ州プネーからテランガーナ州ハイデラバードに変更し、昨年の5割増しとなる1800名が参加した。

開発者会議はインディ(独立系)・ゲームデザイン・ゲームアートなど8トラックで行われ、基調講演は元『エイジ・オブ・エンパイア』シリーズの開発者で、現在はボスファイトエンタテインメント所属のビル・ジャクソン氏と、イラストレーター出身で現在はナチュラルモーション所属のジョロン・ウェブ氏が行った。

ジャクソン氏はモバイルゲーム時代のゲームデザインについて解説し、ゲームデザイナーとプロダクトマネージャは水と油のように感じられるが、バランスが重要だと述べた。ジョロン・ウェブ氏は家庭用の大作ゲームむけミドルウェアを用いたモバイルゲーム開発の事例と、ゲームスタジオの環境が社員の創造性に与える重要性について語った。

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末弘”SWERY”秀孝氏

一方、末弘氏と斎藤氏はそれぞれ、過去のゲーム開発で得られた知見について共有した。末弘氏は『D4』などの開発で、ゲームを最後までプレイしてもらうために、どのような工夫を行ってきたか。斎藤氏はマーケティングチームから低評価を受けた『シーマン』が大ヒットを記録したことをふり返り、競争者のいないブルーオーシャン市場を狙ったことが勝因につながったと述べた。

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斎藤由多加氏

会場では優れたインド産ゲームを表彰するアワードも実施された。最優秀作品にはオンラインマルチプレイの一人称視点シューティングをモバイルゲームで実現した『MaskGun Multiplayer FPS』が輝いた。インディ(独立系)ゲーム部門の最優秀作品には、インドの売春施設にまつわる社会問題をテーマにしたアドベンチャーゲーム『Missing : Game for a cause』が受賞した。

インドは英語圏で世界最大の人口を誇り、2000年代に入って欧米圏との外注業務で技術を蓄積してきた。その後スマートフォンの登場とゲームエンジンの普及で一気にインディ(独立系)ゲームが立ち上がり、数多くのゲームが登場してきた。こうしたゲーム会社はデリー、ムンバイなど各都市に分散しており、今回の開発者会議の誘致でハイデラバードも名乗りをあげた形だ。

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ゲーム・CG・IT関連企業の産業ビル構想

ハイデラバードはIT関連の産業支援に力を入れており、会場周辺はIT企業が立ち並ぶ「サイバービレッジ」として知られている。本イベントもテランガーナ州が協賛しており、会場ではゲーム・CGなどのコンテンツ関連企業を集積し、インキュベーション施設も有する産業ビルの建築計画も発表された。ハイデラバードが今後どのような産業クラスターに成長するか注目される。