gdm1.jpg
△会場には約40名のゲーム開発者が集まった

株式会社ディー・エヌ・エーが主催するゲームクリエイター向けセミナー「Game Developer’s Meeting」の第7回が渋谷ヒカリエの同社カフェで2016年12月22日に開催され、トライエースの向峠慎吾氏が登壇。「ゲームデザイナーの定理〜軸をぶらさないゲームデザインとプロデュースワーク」と題して講演した。

家庭用ゲームからスマホゲームまで多彩な開発経験を持つ向峠氏だが、講演中は「クリエイターとして自分が優れているとは思わない」と繰り返した。その上で「コンセプトを考え抜く」「コンセプトをぶらさずに開発する」「セオリーを知り、理由をつきつめる」という3点をあげ、詳細に解説した。

gdm2.jpg
△トライエース・向峠慎吾氏

はじめに向峠氏は会社に対して企画を通すための要因を整理した。プロデューサー視点では「ターゲット」「タイミング」「プロモーション」の重視。ゲームデザイナー視点では「IPの活用」「ターゲットを変える」「ヒットタイトルをベンチマークにする」の合計6点だ。その上でゲームのコンセプト確立にしっかり時間をかけてほしいと強調した。

一方で開発が始まったら、コンセプトを守り続けることが重要だとした。もっとも、なかなか理想通りには進まない。そのためチーム全体でブレインストーミングを行い、そこで得たアイディアすべてに対してメリット・デメリットを書き出して、比較検討しながら仕様書を作成していくやり方を勧めた。これを繰り返していくと、次第にブレスト自体がコンセプトからぶれないようになっていくという。

また、業務を通して得られたセオリーは成文化して共有することが重要だと述べた。もっとも、しばしば間違ったセオリーが共有されることがあるため、理由を十二分に突き詰めることが必要だという。このほか「専門用語を知っていることと実践することは違う」と補足し、きちんと本来の意味通りの実践ができているか、現場をチェックしてみることを勧めた。

gdm3.jpg
△「ヘブン×インフェルノ」バトル画面

gdm4.jpg
△「ヘブン×インフェルノ」企画コンセプト

例としてあげられたのが、向峠氏がプロデュースしたスマホRPG「ヘブン×インフェルノ」だ。もともと本作は「セオリー通りのマネタイズと、トライエースらしい爽快感のあるバトルのゲーム」というコンセプトだったが、初期仕様書では操作が難しく、爽快感も乏しい内容になっていた。現場を納得させる意味も込めて試作してもらい、最終的にコンセプトにあった内容に作り直したという。

専門用語の例では「PDCAサイクル」が上げられた。「計画・実行・評価・改善」を通して業務を改善していく手法で、オンラインゲームの運用などで幅広く使用されている。しかし、中にはゼロから新施策の承認を求められることがあるという。向峠氏は「過去の運用データを元に施策を立て、上司に承認を求めるのならわかる。しかし、そうした経緯を踏まずに承認を求めるのは違う」と指摘した。

講演を通して向峠氏が語ったのは、仮説を立てて実行し、その評価を通して自分なりのセオリーを創り上げること。そして、そのセオリーを絶えず改善していく重要性だ。企画やプロデュースという曖昧な業務だからこそ、こうした姿勢が求められるというわけだ。自分は決して優秀なクリエイターだとは思わない・・・そう語る向峠氏ならではの卓越した生存術だったといえる。

©NTT DOCOMO,INC. /tri-Ace,Inc.